われ広島にありき
- カテゴリ: われ広島にありき
- 作成日: 2009/06/22 16:31:36
- 要約:
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- の車庫(青空駐車である)の中の一輌が広島救援作業中の宿舎と いうことになりました。電車は窓ガラスは全部割れて床に散ら ばっているので , これをとにかく床に直接寝るのだから , 丁寧に
ほうきで掃除して場所を準備しました。夜間演習から続いての救 援作業だったので一刻も早く横になりたかったです。夕食が到着 したので皆で食べることができ , 一日どれくらい歩いたかなと話 していました。少し横になることができ , 日が西に傾き , 涼しく なってきたなと思っているところへ ,「石黒候補生おるか。 」と隊 長の声がしました。手にロープを持っておられました。 「今 , 日赤 病院のそばで火事が発生した。材木は死体焼却のために確保しな ければならないので , 引き倒して火事から離れたところに置いて 延焼を防げ。 」との命令でした。さあたいへん , 今日はこれまでと のいない火事現場へ。 思っていた班員も , 火事と聞くとちょっと緊張しました。消防隊 日赤病院は鉄筋コンクリート造り 2 階建てで , 窓のスチール 庭にテントをはり , 入院中の傷病兵を看護しておられました。そ
サッシがくの字に折れ曲がり , ガラスは全部割れていたので , 前 れから南は建前したばかりの柱と梁だけの家が建っていました。 屋根も , 壁もみな爆風で飛んでいったのでしょう。日赤病院に近 元に人が倒れているのがわかりました。ロープを置いて , 邪魔な と , 真っ黒な泥水が口から出てきます。壁土が爆風で口に飛び込 み , 家の下敷きになって 10 時間もそのままだったのです。二度 目に水を飲ますと , 少し汚れた水が出てきました。三度目は , う い , その後に救護班へ送りました。 い家に , ロープを肩に登っていこうとすると , 火事の明かりで足 ものを除き , 抱き起こして道路の方まで運び , 水筒の水を飲ます
がいをし , よくなっていたので水筒の水をほしいだけ飲んでもら 再度 , ロープを肩に 2 階へ上がり , 柱に縛りつけ , ロープを下に
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降ろして皆で引き倒しました。ロープを解いて次の家に向います。
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