われ広島にありき
- カテゴリ: われ広島にありき
- 作成日: 2009/06/22 16:31:36
- 要約:
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- を当てて立っておられました。一本の木の傍らにいたとき原爆が 落ち , 木の葉が繁っていた , その隙間から顔の右頬と背中の二箇 所に光が当たったのです。そして「候補生 , このハンカチを取っ てくれ。 」と言われて口を開けてもらったら , 何と口の中からハン カチが見えていました。それで ,「私たちは衛生兵ではないし , 消 れまで辛抱してください。 」と言いました。
毒のものを持っていません。後方の救護班まで運びますので , そ どうして運ぼうかと考え , 日赤病院のコンクリート造りの建物 出し , 雨戸の戸板で運ぶことにしました。2,3 人の班員を連れて
から南は , 建て前したばかりの柱と梁の状態であったことを思い その辺りまで行って強い戸板を探し , 桟の折れていないのを見つ
け , 見習い士官の所まで戻ってさっそくそれに横になってもらい めたら , 見習い士官が「候補生 , 背中が痛い。 」と言われたので立 いていました。服を脱いでもらうと , 長さ 5 センチ , 幅 3 センチ
ました。6 人で担ぐこととし ,3 人は交代要員としました。歩き始 ち止まり , 下に降ろして背中を見ると , 服に二ヶ所小さな穴が開 ほどの水ぶくれが二つできていたので , 痛いはずとわかり , 右頬 を上にするために左を下にして横になってもらい , 再び歩き始め 地下から炎が出て , 西風で道路をはっているのが見えました。こ の炎のところを走り抜けるしか方法がないので , 一回休憩を取り , 元気になって一気に走りぬけようと提案し , しばらく休憩しまし た。再び戸板を担ぎ , 助走に入り , 炎のところではかなりのスピー ドが出ていたと思います。 ました。適当な時に交代しながら歩いて行くと , コメの配給所の
その後は救護班の所まで , 普通の歩みで運んで行けました。見 たって , いのちすら失っていたと思います。
習い士官は , もし木の陰に入ったときでなければ , 全身に光が当
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